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仕事ですから

一時流行していた
「おもてなし」

いまでも、
「当店はお客様へのおもてなしでお待ちしております」
なんて表現を見聞きします。

あまのじゃくの私は、
猫も杓子も「おもてなし」って聞くと
「どんな意味?」
「ほんとかよ?」
と思ってしまいます。

知ってるお店でも聞きましたが、
「??????・・」
と感じたからかもしれませんね。

改めて、「おもてなし」「もてなす」の意味は、
「お客や大切な人へ気遣いや心配りをする心」だそうです。
私自身は、お客さんに対して「私はおもてなしをします」
なんてことを言ったことはないが、
気遣いや心配りはしている。

「日本はおもてなしの国」でオリンピック誘致に成功して、
そのようなお客への想いをもつ日本は素晴らしいと言いたかったのでしょうが、
日本の固有のものでもないし、特に優れているとは思えない。


アメリカのマーケッター、ダン・S・ケネディ著の本の中に、
「きちんと仕事をする」という見出しの中の文章を紹介します。


ダンが、仕事で出かけたホテルの隣の駐車場から車を出すときの話。
その駐車場は舗装はされおらず、おんぼろ小屋に係員が待機している。
Tシャツを着た係員が対応していた。
ところが、この駐車所の係員こそは、
人は見かけで判断してはいけないということを思い知らせてくれる。
この「駐車場の係員」がゼネラルモータースを経営していてもおかしくはない。
「お車でどちらへお出かけですか?」と係員が尋ねた。
私たちは、雑誌の広告で見たイタリアンレストランに行くつもりだと答えた。

「あそこはやめておいたほうがいいでしょう。
イタリアンレストランならもっと良いところが近くにいくつかありますよ。
ここから歩いてもいける距離です。」

それから15分ほど言葉を交わした。
係員は私たちの好みを丁寧に聞き、電話帳を取り出してきて、
いくつかの店に電話をかけ、何時まで営業しているのか、
自慢の料理は何か、どんなワインがあるかということまで確認した。
最終的に、私たちは吸うブロック先にあるレストランに決めた。
係員は地図を描いて、道順を細かく教えてくれた。

これを聞いても驚かないとしたら、
あまり旅行したことがなく、いろいろな駐車場を利用したことはない人だろう。
この係員は1日の駐車料金7ドルで、
今までに泊まった多くのホテルのスタッフやコンシェルジュよりも私たちを大事に扱ってくれたのだ。

係員はていねいに、親身、愛想よく、しかもよくものを知っていた。
本人にそう伝えると、こう答えた。

「これが私の仕事ですから。これが売り物なんです。サービス業ですから。
ここに初めて車を持ってきてくれた人のお役に立てたり、
その人と親しくなれたりしたら、今度この町で車を止める必要があったときに、
私とここのことを思い出してくれるでしょう。
ひょっとしたら、他の人にもここを利用するように勧めてくれるかもしれません。
その人が何度も利用してくれたら、こちらの商売も安定します。
そうなれば、その人は私にとって、数ドルどころではなく、
年に100ドル以上の価値があることになります。
長い目で見れば、その人のおかげで、子供一人の大学の学費1年分くらいは出してやれるかもしれません。
そんなお客さんが、たくさんいれば、私の商売も本当にやりがいがあるというものです。
駐車場はごまんとあります。
どこだって、駐車スペースは同じです。
サービスしないでどうしますか」



声高に「おもてなしの心で・・・」っていうよりは、

「仕事ですから」
私は、そう想って気持ちよくされたほうがずっとかっこいい! と思います。

「おもてなし」に溢れる日本のお店で、
はたして、Tシャツを着た駐車場の彼のような思いで接してくれるどのくらいいるのでしょうか?

私の自戒をこめてご紹介しました。

ちゃん、ちゃん。




by dandaneco | 2018-02-19 23:07

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